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韓国の最新知財情報 - 2026年2月

Published on
2026.02.23
2025年度の知的財産権統計分析

知的財産処(旧特許庁)が2026年1月に公開した知的財産権統計に基づき、2025年度の知的財産権の出願統計及び特許審判院の審判統計を分析した。
2025年度に知的財産処へ出願された知的財産権の出願件数は前年度と比べて増加し、同年度の韓国特許審判院の事件数は前年度に比べて小幅に減少した。

1. 知的財産権全体の出願動向
    特許、実用新案、デザイン、商標出願を含む知的財産権全体の出願は、2024年度の560,629件から、2025年度は前年度よりも増加した582,005件(3.8%増)であった。具体的には、特許、実用新案、デザイン、及び商標出願すべての分野において、それぞれ5.9%、7.9%、1.3%、及び2.3%増加した。
 
[ 年度別の知的財産権出願動向 ]
知的財産権の出願を内国人出願と外国人出願に分けると、内・外国人出願いずれも、2024年度の475,471件及び85,158件から、それぞれ2025年度は492,728件及び89,277件に増加した。2025年度の外国人の出願比率は、特許及び実用新案ではそれぞれ19.7%、16.7%を占め、デザイン及び商標ではそれぞれ11.0%及び11.9%を占めている。
 
[ 2025年度の内・外国人出願 ]

 
外国人出願を出願人の国籍別に分析すると、米国人出願(24.7%)、中国人出願(22.1%)、日本人出願(20.6%)が上位を占める。2025年度は、前年度に比べて中国人と豪州人の出願がそれぞれ19.4%、16.5%と大幅に増加し、他国の出願は小幅の増減があった。
 
[ 2025年度外国人の国籍別出願 ]

2. 知的財産権全体の出願動向
    2025年度1月から10月までの累積出願件数を基準に、産業別の特許出願件数を検討する。「コンピュータプログラミング、システム統合、及び管理業」の出願が21,105件と最も多く、「半導体製造業」(13,007件)、「測定、試験、航海、制御、及びその他の精密機器製造業」(10,699件)、「一次電池及び二次電池製造業」(10,624件)、「基礎医薬物質及び生物学的製剤製造業」(8,490件)、「コンピュータ製造業」(5,928件)の順となった。人工知能及び量子技術などを含む情報通信技術(ICT:Information&CommunicationsTechnology)関連産業*の特許出願が27,033件となり、前年同期に比べて21.1%上昇した。2024年度同期に比べて一次電池及び二次電池製造業の出願増加率が14.4%と2番目に高かった。

* コンピュータプログラミング、システム統合、及び管理業と、コンピュータ製造業分野を合わせて情報通信技術関連産業という。

    2025年度1月から10月までの累積件数を基準に、韓国国内の二次電池関連分野における上位出願人を検討する。韓国国内の二次電池大手3社(LGエネルギーソリューション、サムスンSDI、及びSKオン)は、2024年度に続き2025年度も上位を占めた(それぞれ、2,569件、2,067件、及び625件を出願)。現代自動車は370件出願し、2024年度同期に比べて1ランク上昇して4位を記録し、LG化学は251件出願し、2024年度同期に比べて2ランク下落して6位を記録した。外国国籍の出願人では、トヨタ自動車が355件を出願し、2024年同期間の155件の出願に比べて約230%の出願増加を示し5位を記録した。CATLは326件出願し、2024年同期に比べて1ランク下がった7位を記録した。

3. 特許審判院の審判動向
    2025年度の特許審判院全体の事件数は、前年度に比べて減少(5.0%)したが、特に、特許の無効審判が請求件数基準で2024年度に比べて24%減少した(365件→277件)。2025年度の特許・実用新案、商標、及びデザイン出願の拒絶決定に対する不服審判の認容率は、それぞれ31.6%、57.7%、13.9%の比率を示した。特許・実用新案の権利範囲確認審判は52.2%の認容率を示し、2024年度の45.8%に比べて高い認容率を示した。商標及びデザインの権利範囲確認審判の認容率は、それぞれ48.0%、48.4%であった。特許・実用新案の無効審判の認容率は55.0%として、2024年度の52.5%に比べて小幅に上昇した。その一方、商標の無効審判の認容率は39.8%として、2024年度の44.4%に比べて低い認容率を示した。デザインの無効審判の認容率は54.0%であった。特許・実用新案に対する取消申立ての認容率は28.1%として、無効審判に比べて低い認容率を示し、2024年度の23.2%に比べて小幅に上昇した認容率を示した。
 
[ 2025年度の審判動向 ]

2026年に変わるデザイン実務

知的財産処(旧特許庁)のデザイン制度改編により、2026年からデザイン出願と紛争実務全般においても変化が現れている。2025年11月28日付で施行された今回の改編は、一部審査登録制度の弱点を補完して無断登録と権利乱用を減らし、盗用登録が発生したときに、正当な権利者がより実効的に権利を回復できるよう救済手段を拡充した点が主眼である。それと同時に、出願書作成の負担を減らすための手続き簡素化も含まれるため、出願の利便性は改善されたのに対し、一部審査対象のデザインは事前検討の重要性が一段と高まった。

1. 一部審査登録制度の改善
    デザインの一部審査登録制度は、流行サイクルの短い物品群を中心に迅速な権利確保を図るために運営されてきたが、既に公知されたデザインを一部審査として登録を受けて独占販売するか、登録権利を根拠に流通チャンネルで権利行使を試みる事例が増えたため、制度乱用を防ぐための補完の必要性が継続的に指摘されてきた。

    今回の制度改編により一部審査の出願であっても、審査官が新規性欠如などの明らかな拒絶理由を確認した場合、登録を拒絶することができるようになった。一部審査という理由だけで登録可能性が高いとは言い難くなったため、出願段階から先行デザインの検討と権利化の戦略をより綿密に設計する必要性が大きくなった。

2. 異議申立て機会の拡大
    異議申立て制度が、実務において活用の可能性が高まるように改善された。従来は、登録公告日から3ヶ月以内という短期間のために対応が差し迫ってしまうという指摘があったが、改編後は侵害通知を受けた場合、侵害通知を受けた日から3ヶ月以内にも異議申立てが可能になり、それと同時に登録公告日から1年以内という上限も併せて設けられた。流通現場において、侵害通知やプラットフォームの制裁手続きが始まる時点が、実務上の重要な分岐点になる事例が増えているため、権利行使と異議申立ての戦略を共に設計するアプローチが拡大する傾向である。

3. デザイン権の移転請求制度の導入により権利回復の経路を拡大
    従来は、無権利者が他人のデザインを盗用して先に登録を受けた場合、正当な権利者が無効手続きで権利を消滅させた後、再度出願して登録を受ける方式で対応しなければならなかった。この過程において時間と費用の負担が大きく、権利の空白が発生し得るという点が限界であると指摘されてきた。

    改編後は、正当な権利者が裁判所にデザイン権の移転を請求し、盗用登録された権利を直接移転を受けることができるようになった。事案により無効後の再出願方式と移転請求方式の中から選択肢ができただけに、紛争の初期段階においてどの方法がより効率的であるかを戦略的に検討する幅が拡大された。

    企業の実務では、創作過程の記録、権利帰属資料、協力会社または外注製作の過程における契約書などが事後救済の局面において決定的な根拠になり得る。これらは盗用登録が問題になる状況において、正当な権利者であることを裏付ける資料が十分であるほど、権利回復の速度と方式が変わり得るためである。

4. 出願書への記載の簡素化
    出願段階の形式負担を減らすために、デザイン登録出願書の記載事項のうち、創作内容の要点記載の義務が削除された。実務では、該当項目が図面と説明で確認可能な内容を繰り返し記載させるか、記載方式の違いで補正が発生する原因となる場合があったが、今回の整備により出願書作成の負担が減り、図面中心の審査運営の趣旨が強化される方向である。

5. 部分デザイン名称の要件緩和
    部分デザインに関しては、物品名称の記載要件が緩和された。従来は、製品の一部だけが保護される部分デザインであっても、物品名称を全体の物品だけに記載しなければならないという不便があったが、改編後は保護対象が製品の一部である場合、全体の物品またはその特定部分の名称の中から選択して記載できるように整備された。権利範囲をより直観的に表示することができるため、権利解釈及び紛争予防の側面においても、実務上の有用性が期待される。


2026年に変れるデザイン実務

特別司法警察官は、管轄地検長が指名して特定の職務範囲で捜査を行う行政公務員である。知的財産処(旧特許庁)は、産業財産権の侵害行為に対する取り締まりを強化するために、産業財産特別司法警察の指名を受けて技術デザイン特別司法警察課及び商標特別司法警察課を運用している。これとは別に不正競争調査チームも運用している。

1. 特別司法警察の人員、職務及び法的根拠
    「司法警察管理の職務を行う者とその職務範囲に関する法律」に基づき、2010年に商標特別司法警察課の創設を皮切りに技術デザイン警察課(2019年)が追加で創設された。また、2017年に不正競争調査チームも構成され、「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」の違反行為に対して調査している。知的財産権保護を強化するために、特許権、実用新案権、デザイン権の侵害を親告罪から反意思不罰罪に改正することで企画・認知捜査が可能になり、知的財産権特別司法警察の役割が拡大された。以下では、各司法警察課と不正競争調査チームの人員と職務範囲を表にまとめた。

* 元知的財産処の特別司法警察官
技術デザイン警察の捜査は、以下のフローチャートのように、告訴・告発があるか捜査官が侵害を認知した場合、告訴人の調査、被疑者の捜査後に嫌疑があると判断すれば、検察に送致するという手続きで進められる。
 
[ 技術警察の捜査フローチャート ]

2. 取り締まりの現況
    知的財産処の特別司法警察は、直近5年間、毎年およそ150~200件の知的財産権の侵害告発事件(およそ350名~500名の被調査者が関連)を受け付け捜査した後、およそ100件~180件(250名~350名の被疑者が関連)に嫌疑があると判断し検察に送致した。検察処分と特別司法警察の検察送致における意見の一致度が約92%に達するが、これは、特別司法警察の知的財産権侵害に対する専門性が高いということを示している。商標特別司法警察の場合、2025年1年間の取り締まりの結果として押収した偽造商品の正規品価額が4千億ウォンを越えたと知られている。

3. 近年の取り締まりの傾向
    知的財産侵害の手法が高度化することにより、デジタル証拠の収集と分析の重要性が高まっている。これに関して技術デザイン警察は、デジタルフォレンジック装備を構築してデジタル証拠の収集及び分析を行っている。

    SNSにおける超短期間の点組織型販売、ライブコマース、会員制共同購入を通じた知的財産権侵害は、届出による伝統的な捜査技法では取り締まりが困難である。これに対応して、オンラインモニタリング、模倣品の代理購入などを通じて侵害情報を積極的に採証させた後、オンライン販売の中止措置を講じるか、企画捜査に連携させている。

上記のように、知的財産権侵害に対する刑事的制裁手段として、知的財産処の特別司法警察制度が多く活用されており、特別司法警察の専門性もあるため、韓国において知的財産権侵害がある場合は、特別司法警察課に告訴することも1つの方法になり得る。

知的財産処の特別司法警察制産のご紹介

1. 「知的財産処」の公式発足と地位の強化
    2025年10月1日、特許庁は、国務総理直属の「知的財産処」に昇格し、国家知的財産政策のコントロールタワーとして新たに出発した。知的財産処の発足は、単に名称が変わることにとどまらず、知的財産の創出と保護、そして活用を汎政府レベルで統合管理する強力な推進力を確保したという点において意味がある。

2. 人工知能基盤の知能型審査支援システムの高度化
    知的財産処は、審査の迅速性と正確性を高めるために、人工知能技術を全面的に導入している。

    2025年12月から高度化した「人工知能デザイン検索システム」が本格的に稼動し、約52万件の新規学習データに基づいて画像検索の精度を向上させ、2026年初めからは、既存の単語中心の検索を越え文脈と意味を把握する「人工知能特許文章検索システム」の試行サービスが始まった。

    このような人工知能基盤へのシステム転換は、審査官が先行技術を漏れなく検討できるようにすることで、顧客に信頼度の高い審査結果を提供できるようになると見込まれる。

3. 特許法条約(PLT)への加盟推進によるグローバル標準の確立
    知的財産処は、出願人の利便性を高め特許取得の障壁を低くするために、2029年までに「特許法条約(PLT)」への加入を完了するというロードマップを発表した。

    この条約が施行されると、出願時に言語要件が緩和されるため、韓国語と英語のほかにも出願人が使用するすべての言語で出願することができる。

    また、煩雑な公証手続きや認証関連書類の提出なく、自筆署名だけでも特許権移転などの行政手続きを進めることができるようになり、在外者が国内代理人なしに手数料の納付や出願書の提出を直接行える例外規定も拡大される予定である。

    何よりも、形式的な誤りやミスにより法定期限を徒過した場合でも、権利を回復できる救済手段が強化されるため、顧客の大切な権利が手続き上の不備により失われるリスクが減ることになると予想される。

何よりも、形式的な誤りやミスにより法定期限を徒過した場合でも、権利を回復できる救済手段が強化されるため、顧客の大切な権利が手続き上の不備により失われるリスクが減ることになると予想される。

4. 新技術の環境を反映したAI分野審査実務ガイドを補完
    知的財産処は、最近、生成AIとオンデバイスAI技術の急激な発展を反映した新たな審査事例を拡充して、「AI分野審査実務ガイド」を改正した。

    今回の改正には、生成AIを用いたロゴデザイン生成技術からアルツハイマー治療用組成物のようなバイオ分野のAI活用事例まで5件の具体的な審査例が追加され、出願人に実質的な指針を提供する。

    生成AI関連発明の場合、単なる技術活用を超えて出力データを後処理する構成に相違があり、予測される効果を超える具体的な技術的特徴があってこそ、進歩性が認められるということを明確にし、化学及びバイオ分野ではAIで予測された効果であっても、化合物の特性を確認できる実験データや薬理効果があるという試験例が具体的に記載されなければならないという点を明示した。

    今回の改正は、AI技術が含まれた複合的な発明を韓国に出願するときに発生し得る不確実性を解消し、高品質の特許権確保を目的とした戦略策定のためのガイドを提示している。

5. 迅速な紛争解決のための審判手続きの改善
    2025年8月8日から施行された改正規定により、特許審判手続きが現場からの要請を反映して改編された。半導体などの先端戦略産業分野の拒絶決定不服審判は、請求人の申立てだけで優先審判を受けられるようになった。

    また、貿易委員会の不公正貿易行為調査に関連した事件については、審判官が職権で迅速審判を決定できるようにして、知的財産権の侵害に関する貿易紛争が長期化することを防ぎ、実効的な救済が行われるようにした。

    そして、審判の段階において、当事者間の合意を誘導する審判・調停連携制度を活性化し、紛争を長期化せずに効率的に終結できる法的手段が導入された。

 
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